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電動シニアカートとは

「電動シニアカート」───実は呼び名は幾通りもあります。シニアカー、電動シニアカー、ハンドル形電動車いす(日本工業規格の分類)などなど。欧米では「Power Scooter(パワー・スクーター)」「Mobility Scooter(モビリティ・スクーター)」と呼ばれているそうです。

高齢者向けの1人用の電動の乗り物で、ぱっと見は50㏄原付バイクのよう。
でもよく見ると違います。

地方や都市部郊外などでは目にする機会も増えてきましたが、まだまだ普及しているとはいえない状況です。「免許は必要?」「速度は?」など疑問もたくさんあるでしょう。まずは電動シニアカートの基本的な情報をまとめてみました。

view_module 目次

  1. 外出時の強い相棒~電動シニアカート
  2. 免許不要で歩道を通行/速度は歩行者程度
  3. 初心者でも操作は簡単
  4. 一度バッテリー充電すれば20キロ以上走行も
  5. 本格派から折り畳み式までタイプいろいろ
  6. 電動シニアカートの危険性&事故


外出時の強い相棒~電動シニアカート

「足腰の衰えを感じる年になってきた」
「久しぶりに帰省したら、親が歩行困難に」

足腰の衰えは急激に訪れます。
今までと同じように歩いているはずなのに、わずかな段差につまづいてよろけてしまう。立ち上がるのに時間がかかるようになった。少し歩くだけで足が重くなり立ち止まってしまう・・・などなど。

「人は足から老いる」と昔から言われてきましたが、医療の発達で寿命が伸び、かつ身体を動かす機会が減った現代社会ではよりその傾向が強まっています。

歩行困難になる主な原因は、足の筋力の低下、股関節・膝関節の障害。腰痛やヘルニア、背骨の老化で背中が曲がり歩きにくくなる人もいます。

転んで骨折などしたら大変と外出自体に消極的になった結果、さらなる筋力低下を引き起こし歩けなくなり、心身の老化が加速してしまう結果にも。

買い物や郵便局に銀行、美容院、近所へのちょっとした用などもこなせなくなり、日常生活に大きな支障も生じます。車の運転ができればまだいいのですが、そうでない場合、誰かに車に乗せてもらわなければ、どこへも行けなくなってしまいます。公共交通機関が乏しい地方ではさらに深刻な状況です。

そんな時、外出のための強力なパートナーとなるのが「電動シニアカート」。

車の運転をしたことがない人でも簡単に操縦できる乗り物で、免許は不要。スピードは時速6キロまでで、一度充電すれば20キロ以上も連続走行できるものも。近所はもちろん、少し離れた場所にあるスーパーへ買い物に行くこともできます。坂道が多い地域なら、さらにありがたい存在となるでしょう。

自分ひとりで、好きな時に自由に動ける「電動シニアカート」。

平均寿命80歳を超えた長寿社会の中で、いきいきとアクティブな生活を送り続けるためには欠かせない必須アイテムになってくるはずです。


免許不要で歩道を通行/速度は歩行者程度

見た目は原付バイクのようですが、電動シニアカートは免許不要で誰でも乗ることができる乗り物です。

道路交通法では「原動機を用いる身体障害者用の車いす」という分類で歩行者としての扱いになっており、歩道もしくは右側の路側帯、どちらもない場合は道路の右側を走行することになっています。

速度は時速6キロ以下。通常の歩行速度が時速4~5キロなので、最大スピードを出しても早歩き程度、基本は徒歩と同じ程度のスピードです。

「歩道を通行して、歩行者とぶつかってしまわないのか」

と心配される人もいるでしょう。

スピードが歩行者程度とは言え、車体はバッテリー含めて100キロ前後あり、ぶつかれば相手を怪我させかねません。自転車との衝突事故のリスクもあります。そのようなわけで、人が密集したエリアでは利用しにくい乗り物でしょう。実際、都市中心部などで見かけることはほとんどありません。

ただ郊外や地方であれば、人や自転車の密集度もぐっと低くなりますし、車が少ない見通しのよい道を選び、安全に十分気を付けて利用すれば年配者も問題なく使いこなせる乗り物です。

ちなみに横幅はホンダの「モンパル」で59.5cm。
これは自転車の一般的な横幅とほぼ同じです(道路交通法で横幅は70㎝までと定められている)。


初心者でも操作は簡単

高齢者が利用する前提で設計されていますので、操作も簡単。
車やバイクの運転経験がない人でもすぐに覚えられる作りになっています。

モデルによりますが、操作パネルの表示も大きく、わかりやすくなっています。

慣れるまでは、速度を2キロくらいの微速に固定しておけば怖いこともありませんし、メーカーによっては購入・レンタル最初、専門の指導員がついて丁寧に教えてくれるところもあります。

ただし高額の商品になりますので、「買ったけど結局乗りこなせず」ではもったいないことになります。不安な方は、まずは短期レンタルなどを利用して、実際に近所を走ってみることをおススメします。あまりにも段差が多い道や、歩道と車道の区分がなく危ない道が多いというケースもありますので、そうした周辺環境のチェックにもなるはずです。


一度バッテリー充電すれば20キロ以上走行も

近年大幅に技術進化を遂げているもののひとつに、乗り物用のバッテリーがあります。電動アシスト付き自転車もバッテリーの重さが長年の課題でしたが、今や軽量コンパクト化され、ロードバイクやマウンテンバイクにまで電動アシスト付きモデルが登場する時代に。

電動シニアカートにとってもバッテリーは命。万が一にも外出途中でバッテリー切れを起こしてしまったら完全に立ち往生となってしまいますし、押して帰宅することも歩行困難な人には無理な作業でしょう。

そんなわけで、バッテリーがどの程度もつのかは非常に重要です。
主要モデルで見てみましょう。

●電動シニアカート比較|電動シニアカート購入ナビ

上記の「連続走行距離」が一回の充電で走れる距離の目安です。
トップシェアのスズキ・セニアカー(ET4D)は31km、ホンダのモンパルは25kmとなっています。通常、15分で歩ける距離は1キロ程度ですので、徒歩圏へのお出かけであれば往復2~3キロの距離でしょう。ほぼ毎日2~3キロ程度利用する場合でも、週に一回充電すれば足りる計算です(実際はもっと頻繁に充電しておいたほうが安全でバッテリー上がりも防げる)。

充電方法は製品によって異なりますが、本体から充電用コードを伸ばして家庭用電源で充電するのが一般的で、手間もかかりません。なおほとんどの電動シニアカートは、バッテリーを取り外しての充電ができません。マンション等にお住まいの方は、電動シニアカートを保管しておく場所での充電が可能かどうか、あるいは充電のためエレベーターなどを利用して自宅玄関まで電動シニアカートを持ってこれるかどうか、事前の確認が必要です(マンションによっては、電動シニアカートのエレベーター持ち込みを禁止しています)。

もうひとつ注意しないといけないのは、バッテリーの寿命です。
製品・利用環境によっても変わりますが、一般的に電動シニアカートは2~3年でバッテリーが劣化し交換が必要となります。その場合の費用も決して小さくはありませんので、ランニングコストとして購入検討中にしっかり比較しておきましょう。


本格派から折り畳み式までタイプいろいろ

現在、多くのメーカーが電動シニアカートを製造・販売しており、タイプやデザインも様々です。中にはとてもスタイリッシュなものや、オフロードも走行できるもの、折り畳んで車のトランクに入れて運べるものまであります。

3輪/4輪タイプ

タイヤの数での分類では、3輪タイプと4輪タイプがあります。
より安定しているのは4輪ですが、3輪のほうが小回りが利くメリットがあります(4輪は内輪差がある)。

折り畳み式

近所でのみ利用する場合には必要ありませんが、例えば家族で旅行に行った先でも使いたいというニーズがあれば、折り畳めて車のトランクに収納できるものもあります。頻繁に利用するわけではない場合や、ガレージがなく収納する場所が玄関先といった場合にも、折り畳み式は便利でしょう。

その他

コンパクトで軽量のものもあります。安定性・使い勝手などがその分落ちる場合もあるので、どちらをとるかは慎重に検討する必要ありますが、マンションなど集合住宅に住む方にとってはコンパクトサイズは大きな魅力でしょう。

用途によっては、舗装道路だけでなくオフロードも走れる変わり種も。


電動シニアカートの危険性&事故

少し古い資料ではありますが、国民生活センターの公式サイトには、電動シニアカート利用中の死亡事故事例が掲載されています。

●危険!電動3・4輪車で死亡事故(見守り情報)_国民生活センター

事例1: シニアカーに乗って下り坂を走行中に、急ハンドルを切ったらしく、車体ごと転倒し、死亡した。
事例2:電動カートで走行中、踏切内で電車にはねられて、死亡した。
事例3:ハンドル形電動車いすと一緒に用水路に転落した状態で発見された。救急隊が到着した時には死亡していた。

こちらも古い資料ですが、複数メーカーの製品の安全性について調査をした報告レポートもあります(PDFファイル)。

●電動3・4輪車の安全性(概要)

この10年間で製品の安全性能はかなり上がっています。たとえば下り坂でのスピード制御やちょっとした段差の乗り越え、車からの視認性を高めるための工夫や緊急ブレーキなど。

それでも、無理に段差を乗り越えようとしてバランスを崩し転倒してしまう事故や、歩道のない道路で車と接触してしまう事故などが起きています。

速度は歩行者程度ですが、人にぶつかれば相手をケガさせてしまう可能性もあります。認知機能・反射神経の衰えなどの問題もあります。

そうしたリスクも踏まえ、慣れるまでは誰かに付き添ってもらい、安全に走行できるルートをきちんと検討するとともに、安全に乗るためのポイントをしっかり頭に入れる必要があります。初期に専門の指導員がついて安全講習をしてくれるところもありますので、不安な場合はそうしたサービスがあるメーカーもしくはショップで購入しましょう。

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