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介護保険を利用してレンタル

電動シニアカートの利用という話をすると、まず最初にアドバイスされるのが「介護保険の利用」です。購入すると20万円以上、レンタルすると月1万円以上となることもある電動シニアカートですが、介護保険を利用してのレンタルなら、1割(人によって2割)で済みます。

ただし当然ですが、誰でも介護保険を利用してレンタルできるわけではありません。

どういった条件・手続きが必要になるのか、簡単にまとめてみたいと思います。


そもそも介護保険とは

2000年に施行された介護保険制度。
「デイサービス」「ケアマネ」などの名前を聞いたことある方は多いと思いますが、実際に親の介護などで利用するようになるまで、全容・具体的な内容はわからないものです。

介護保険制度は、高齢者の介護を地域全体で支えていくための制度です。

寝たきりや認知症など介護を必要とする人が出た際、それを担う家族の負担はとても重たいもの。介護離職や介護うつといった事態も引き起こしてしまいます。

介護保険制度が始まったことで、介護認定を受けた人がデイサービスや訪問介護、買い物代行、介護用品のレンタルといったサービスを利用する場合、料金の1割ないし2割だけを負担すればよくなり、そうした外部の手を借りる経済的負担が大幅に軽減されることになりました。
同時に各地に数多くの介護サービス事業者が誕生し、利用できるサービスの種類も広がりました。

●介護サービス事業者の種類 - Wikipedia

要介護認定をしてもらう

介護保険制度を使って介護サービスを受けるためには、事前に「要介護認定」をしてもらう必要があります。これはその人が日常生活を送るにあたり介護・支援が必要であるという認定で、7段階の「要介護度」が設定されています。

要支援1日常生活はほぼ自分でできるが、要介護状態予防のために少し支援が必要。
要支援2日常生活に支援が必要だが、要介護に至らずに機能が改善する可能性が高い。
要介護1立ち上がりや歩行が不安定。日常の中で、排せつや入浴などに部分的な介助が必要。
要介護2自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄、入浴などに一部または全介助が必要。
要介護3立ち上がりや歩行などが自力ではできない。日常においても排泄、入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要。
要介護4排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活の全般において全面的な介助が必要。日常生活能力の低下がみられる。
要介護5日常生活全般において、全面的な介助が必要であり、意志の伝達も困難。

●よくわかる介護保険と利用料金 | ニチイの介護サイト

この要介護認定を行うのは市町村です。
本人もしくは家族やその代理人からの申請に基づき、市町村から派遣される調査員が家族・本人と面接し聞き取り調査を行います。また主治医からの意見書を取り寄せるなどし審査を行い、介護・支援が必要であるならその介護度を認定します。

●要介護認定を受けるには?申請方法から認定後の流れまで徹底解説! | 知っておきたい介護の知識
●要介護認定を受けるには?|きのくに介護deネット
●要介護認定 申請の流れ-介護保険の基礎知識|LIFULL介護(旧HOME'S介護)

どんなサービスが受けられるの?

自宅を訪れて入浴支援やリハビリなど行う訪問サービスから、いわゆる特養とよばれる介護福祉施設、リクライニングベッドや車いすのレンタルに至るまで多岐にわたります。

●公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

一人暮らしあるいは高齢夫婦での生活でともに要介護状態になってしまえば、買い物をするのも大変になってしまいますので、そんな買い物代行サービスなどもあります。自己負担額は基本1割(所得金額によっては2割)で済むため、例えば電動シニアカートのレンタルの場合も、月1,000円台~2,000円前後とリーズナブルに借りるのです。

ただし使いたいサービスを自由に選んで利用できるわけではありません。

要介護度によって、利用できる介護サービスや上限金額は決まってきます。また「要介護」の認定がでると、それぞれケアマネージャー(介護支援専門員)を選定することになります。そして担当となったケアマネージャーが本人・家族から聞き取りを行ってどういった介護サービスが必要かケアプランを作成し、それに基づいて介護サービス事業者と連携し介護サービスを導入していきます(要支援の場合は地域包括センターが行う)。

介護保険制度については、下記にわかりやすい解説が掲載されています。
市町村役所の中に地域包括センターがありますので、そこに相談してみてもいいでしょう。身体の状態や日常生活の中で困っていることなどを話せば、どういったサービスを受けられる可能性があるかなど、教えてもらえるはずです。

●よくわかる介護保険と利用料金 | ニチイの介護サイト


レンタルするには要介護2以上が必要

さて肝心の「電動シニアカート」の件。
介護保険を使って電動シニアカートのレンタルを行う場合には、基本、「要介護2」以上の認定がおりていることが前提で、要介護1・要支援1~2の人は基本的には適用範囲外となります。

要介護2の目安は「自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄、入浴などに一部または全介助が必要」です。その状態だと実質寝たきり、あるいは寝たきり一歩手前といったところで、電動シニアカートを乗り回して自由にひとりで外出するといった感じではないようにも思えます。むしろ要介護1や要支援2のレベルの人のほうが、電動シニアカート活用で家閉じこもり・寝たきりになることを防ぐという点では、より必要性が高い気もします。

それでも介護保険を使っての電動シニアカートのレンタルは無理なのでしょうか。
実はそんなことはありません。


要介護1・要支援1~2でもレンタル可能?

電動シニアカートのレンタルは「要介護2以上」前提ですが、これは絶対条件ではないからです。
要介護1あるいは要支援1~2の人でも、利用の申請をして必要と認められ許可が下りれば、介護保険を利用してのレンタルが可能となります。

●介護度により原則対象外となる福祉用具について|介護保険制度について|福祉用具レンタルさいわい

例外的に利用を認めてもらうためには、「日常的に歩行が困難である」「日常生活範囲における移動の支援が必要」という状態を認定してもらう必要がありますので、ケアマネージャーもしくは地域包括支援センターの担当職員にまずは相談をしてみましょう。主治医の意見書・診断書も必要になると思いますが、実際に要介護1の人でも電動シニアカートを介護保険利用してレンタルしている人は少なくないとのことです。

また介護認定の更新時期に達していなくても、心身の状況に大きな変化があり、より重い要介護度への変更が必要となった場合には、あらたに要介護認定申請を行うことができます。実際にそれで希望する要介護度の認定をしてもらえるかどうかは定かではありませんが、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しながらトライしてみてもいいでしょう。


申請手続きと認可までのスケジュール

介護認定は、申請してすぐにおりるわけではありません。
面談、主治医の意見書作成などもあり、通常一か月程度かかると言われています。

【1】要介護認定の申請

介護保険によるサービスを利用するには、要介護認定の申請が必要になります。申請には、介護保険被保険者証が必要です。
40~64歳までの人(第2号被保険者)が申請を行なう場合は、医療保険証が必要です。

【2】認定調査・主治医意見書

市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して、心身の状態を確認するための認定調査を行います。
主治医意見書は市区町村が主治医に依頼をします。主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。

【3】審査判定

調査結果及び主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行なわれます。(一次判定)
一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定が行なわれます。(二次判定)

【4】認定

市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき要介護認定を行ない、申請者に結果を通知します。申請から認定の通知までは原則30日以内に行ないます。
認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています。

<認定の有効期間>
・新規、変更申請:原則6ヶ月(状態に応じ3~12ヶ月まで設定)
・更新申請:原則12ヶ月(状態に応じ3~24ヶ月まで設定)

【5】介護サービス利用の開始

介護サービス計画にもとづいた、さまざまなサービスが利用できます。

●サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」


+ + +


ちなみに私が両親の介護申請を行った際の実際の日程は下記のとおりです。
元々、歩行に困難になりかけていた母が、父の長期入院で買い物にも行けなくなり生活に支障が出たため申請を検討したのですが、病院で父についても提出しておくよう言われ、両親同時での申請となりました。

父(75歳/血液の病気)

11/10 退院までに介護申請を出しておくよう病院で主治医から言われる
11/13 市役所を訪れ介護申請を提出(調査員が訪れる日程も決定)
11/17 調査員が病院を訪れ面談(30分程度)─看護師にもヒアリング/同日退院
12/07 介護認定の通知が届く(要支援1)

申請(11/17)から認定通知到着(12/7)が届くまでは21日間でした。
入院の前半はベッドから起き上がることはできず、排せつも介助が必要でしたが、治療効果が現れ、認定調査の際にはベッドからの立ち上がりや歩行など問題なく行うことができるまでに回復していました。ただ病気により、ふたたび自宅で同様の寝たきり状態となってしまう可能性もあり、その際に速やかに訪問看護サービスも利用できるよう準備しておくということで、病院から介護認定の申請を勧められたのだと思います。

もっとも軽い「要支援1」で、実際はなんらサービスの利用は必要ありませんが、いざという時には地域包括センターに相談し、必要なサービスの利用を申請しようと思っています。


母(74歳/歩行困難で圧迫骨折により一時的に寝たきり状態)

10/30 電動シニアカート導入を検討する過程で介護認定の申請を検討し始める
11/09 ギックリ腰となり完全寝たきりに→のちに圧迫骨折が判明
11/13 市役所を訪れ介護申請を提出(調査員が訪れる日程も決定)
11/19 リクライニングベッドをレンタル(認定おりる前だけど必要に迫られ前倒しで利用)
11/17 訪問リハビリサービスの事業者と打ち合わせ(認定おりる前だけど必要に迫られ前倒しで利用)
11/20 調査員が自宅を訪れ面談(30分程度)
11/30 病院から呼び出しがあり、意見書作成のための診察
12/12 介護認定の通知が届く(要介護3)

母は2011年(6年前)に変形性股関節症のための人工股関節手術を行い、障がい者手帳も保持しています。人工股関節を入れた後も歩行は困難な状態が続き、さらに2015年11月に腎臓の病気で一か月入院した後は、足腰が弱り転倒しやすくなってさらに歩くのが大変になり、ひとりで動けるのは家の周辺程度。買い物などは父の車でスーパーに行き、手押し式のシルバーカートを使って移動していました。

11月に父が入院した後は、車がないため買い物に行くことも困難に。娘である私が急きょ車の運転を練習し(長い間ペーパードライバーでした)、買い物や通院はなんとかなりましたが、父の病状が悪化したため夜間も付添して泊まることが多く、また私自身もいずれ仕事の関係で東京に戻らないといけなくなるため、母がひとりでも生活できるよう、介護認定の申請を考え始めました。

そんな折、ギックリ腰で全く立てない状態に。
急きょ父の病室からおむつなどを自宅に持ち帰り、本格的な介護生活となってしまいました。
一週間程度で落ち着くかと思いきやまったく改善せず、病院に行ったところ圧迫骨折をしていることが判明。骨粗しょう症も進行し背骨も大きく変形していました。

床に敷いた布団からだと上体を起こすのも大変なので、介護申請の認定通知を待たずリクライニングベッドをレンタル。仮に要介護2以上がとれなくても自腹でレンタル料を払う覚悟の上です。床の布団だと本人が起き上がろうとすることもなくなってしまい、筋力が衰えた結果、本格的な寝たきり生活に突入してしまうリスクを考えたからです。

そして訪問リハビリサービスにも申し込みをしました。
高齢者は1日寝たきりになるだけで3~5%の筋力が減少し、一週間で20%も衰えてしまうと言われます。それを回復させるにはさらに何倍もの日数が必要となるので、寝たきり生活突入を回避するためには、なるべく早期にリハビリ開始することが肝心なのです。

結果として介護認定は「要介護3」となり、前倒しで利用していたリクライニングベッドと訪問リハビリサービスもすべて介護保険適用されることになりました。


要介護認定の更新

一度要介護認定してもらったらずっと有効というわけではありません。
時期によって、要介護度は変わります。多くのケースでは、年齢を重ねるにつれ心身の老化も進み、より高い介護度になっていきます。逆にリハビリなどの効果がでて、寝たきりだった人が起き上がって少し動けるようになってくるということもあるでしょう。

要介護認定には6か月から24か月の有効期限が定められており、期間終了する前に認定更新の手続きを行う必要があります。

また有効期限前でも、状態が大きく変化して「要介護度をもっと高くしてほしい」と望む場合には要介護度の変更の申請を行うことが可能です。


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